E深川七福神とその界隈・霊磐寺
元禄二年(1689年)  芭蕉・曽良深川出立
旧暦
新暦
場所
3月27日
5月16日
深川・海辺橋にあった弟子・杉風(さんぷう)の採茶庵から出立する。
深川七福神は、芭蕉が15年の長きにわたって生活した地域とほぼ重なります。俗を捨てて孤独な精神世界の中に沈み込んでいった場所、いわば奥の細道のゆりかごの地でもあります。深川は川の街、そして深川七福神が筋交いのように街の心に芯を通しているような気がします。七福神を回りながら、深川の景色と風情に接することは『奥の細道』を楽しむために有効なことではないかと思っています。私はそのような目でこの街を歩いて見ました。芭蕉はこの深川から奥の細道の旅へと出立するのです。それは元禄二年三月二七日(旧暦)の事です。

この霊願寺は松平定信の墳墓があります。芭蕉が憧れた白河藩の藩主であり現在の白河神社の周辺を『白河古関跡』と確定した芭蕉に縁のある人です。定信の調査の結果の正しいことが近来の発掘調査でも確かめられています。

2月4日、深川を門前仲町・清洲白川・森下と歩きました。小名木川を渡り芭蕉の地に足を踏み入れたころにはすっかりくたびれてしまいました。森下の煉瓦亭で昼食をと思って我慢して歩き続けてきました。見るところが多すぎました。あわよくば帰路に有楽町に回って映画を見たいと思っていたのに、煉瓦亭にたどり着いたときには3時半、既に店が休みになっていました。その日は、一時も早く家に帰ってのんびりしようと帰路に着きました。

2月12日、芭蕉の足跡を探しながら雨の降る森下駅から再び新大橋を目指します。今度は早すぎて煉瓦亭は準備中です。新大橋から隅田川の散歩道を芭蕉の句を見ながら楽しい時間を過ごしました。隅田川には船が行き交い、見上げる首都高速には車の列。往時の隅田川の船運交通もこうだったのかと理解できました。小名木川に出て万年橋を大川から眺めることが出来ました。居眠り磐音の舞台、金兵衛長屋のあった六間掘りの痕跡を探して歩きました。これら芭蕉の地の話は近日中に掲載申し上げます。

今回は森下から清洲白河に出て霊巌寺を訪れることにしました。既に門前仲町と小名木川の間は深川七福神に掲載しておりますので、ここに記録を残させていただきます。霊巌寺はかなり広い寺で、松平定信の墓と江戸六地蔵の一つがあることで知られています。また、フィクションではありますが居眠り磐音の金兵衛の連れ合いの墓があり磐音が”おこん”ともども参ったところでもあります。帰りは、清洲白河から地下鉄半蔵門線で三越前に出て、銀座線に乗り換え有楽町に出ました。今回はお目当てのアメリカン・ギャングスターを見ることが出来ました。芭蕉の句を辿りながら時代小説と映画と両方を楽しむことが出来た豊穣の一日です。2008.2.12

清洲白河・霊巌寺へ
霊巌寺は大江戸線清洲白河駅の傍にあるかなり大きな寺です。松平定信の大きな墓(右写真)があります。城主を務めた福島県白河市では、南湖神社に定信が祭られています。

藤沢周平作品では”闇の傀儡師・上下巻”の中に定信が重要な役でしばしば登場することは愛読者の方はご存知かと思います。作品の中での描き方は必ずしも好意的には見えません。池波正太郎は鬼平に”立派なお方なれど下情に通じていない”と言わせています。歴史というものは見る立場で黒白が逆に成るほど大きく異なるものだと思います。

松平定信は、江戸中期の陸奥白河(福島県)藩主であり、天明7年(l787)老中となりました。定信が行つた政策は、寛政の改革といわれ、天明の打ちこわし後の江戸の秩序回復に努めました。とくに七分積金の制度は、町方入用を節約させ、不時の備蓄にあてたものです。明治には、東京府の公共事業に役立ちました。この霊巌寺にある墓は、昭和3年に国の史跡に指定されています。

霊巌寺前に建つ台東区役所説明

高さが1.73メートルもある大変大きな銅造の地蔵です、1713年に建てられたそうです。説明を読んで品川寺のものを見た事を思い出しました。又、先日訪れたばかりの富岡不動前の永代寺の像が消滅と書かれています。
1658年霊巌島からこの地に移ってきたと言う記録を見た気がします。調べたところ、1657年・明暦3年)の振袖火事で類焼、霊巌島からここ深川に移ってきたようです(1658年になってから移ったのかもしれませんが、調べて後日訂正・加筆致します)。右の写真は入り口が分からず墓が見えたところから鉄の門扉を押して見ました。横から入ったことになります。 霊巌寺の門前に佃煮屋が2軒並んでいます。てっきり深川の名物かと思い込んで、お土産にと3パック買い込みました。鬼平が妻の久栄の土産に、近くに住む磐音がたまに贅沢したりしたかもと想像を楽しんだからです。話を聞いたら、人工的な調味料は使用していないが浦安で作っているとの事でがっかりしてしまいました。佃島でもなく浦安製の佃煮を深川で買うなんて。味は大変美味でした。雨の中を歩き回ったので、さっさと有楽町に回ることにしました。
9/18/2008

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霊巌寺芭蕉の地万年橋小名木川へ富岡八幡宮